閉店後、翌日の投稿に使えそうな写真を共有フォルダで見つけたとします。料理も店内もきれいに写っていますが、誰が撮影し、どこから保存した画像なのかは分かりません。検索結果から取得した画像や、お客様の投稿をスタッフが保存した画像である可能性もあります。
写真の印象が店舗に合っていることと、店舗のSNSで利用できることは別の問題です。「ネットに掲載されていた」「無料と書かれていた」「自店の商品が写っている」といった理由だけでは、利用できる根拠になりません。投稿前に、入手元、撮影者・制作者、利用条件、写っている人物や作品、許可の記録を順番に確認する必要があります。
この記事では、店舗がSNS投稿画像の著作権や利用条件を確認し、採用・保留・不採用を決めるまでの実務手順を解説します。個別案件の適法性を判断するものではありません。判断が難しい素材、権利侵害の申立てがある素材、契約や法令が関係する素材は公開を保留し、権利者、サービス提供者、弁護士などの専門家へ確認してください。
保存した場所ではなく、作った人まで戻る
最初に確認するのは、画像の入手経路です。共有フォルダに保存されているという事実だけでは、店舗が利用権限を持つ証明になりません。自社で撮影した写真、スタッフが私物端末で撮った写真、外注先から納品された画像、素材サイトから取得した画像、お客様のSNS投稿、AIで生成した画像では、確認先と残すべき記録がそれぞれ異なります。
たとえば画像ごとに、原本の保存場所、撮影者または制作者、取得元URL、取得日を記録します。外注素材なら契約書や発注内容、素材サイトなら対象素材のページとライセンス、お客様の投稿なら元の投稿URLと許可のやり取りまでさかのぼります。共有フォルダで見つけた料理写真の撮影者や取得元が分からない場合は、推測で「自社素材」と扱わず、保留フォルダへ移してください。
文化庁は、インターネットで見つけた画像にも権利者がいる場合があり、SNSへの公開は私的利用の範囲外になり得ると案内しています。「拾い画だから使える」と判断せず、文化庁の著作権解説などの一次情報を確認します。
出所が分からないとき: 使える理由を推測せず、いったん保留フォルダへ移します。撮影者や取得元を確認できなければ、確認済みの別素材を選ぶか、同じ商品を撮影し直します。
使える範囲を、投稿する前に文字で残す
制作者が分かっても、その画像を自由に使えるとは限りません。「利用してよい」という一言だけで済ませず、掲載するアカウント、利用目的、商用利用の可否、加工できる範囲、クレジット表記、掲載期間、広告利用の可否を確認します。通常のSNS投稿が認められていても、広告利用には別の条件が設けられている場合があります。今回の投稿が許可された範囲に入るか、一つずつ照合することが重要です。
素材サイトの画像を使う場合は、対象素材のURLや素材IDに加え、利用規約のページ名とURL、確認日を保存します。「フリー素材」という呼び名だけで判断せず、商用利用、加工、クレジット表記、再配布、商品化、禁止用途の条件を読みます。規約が後から変更される可能性も考え、取得時にどの記載を根拠として採用したのかを追跡できる状態にしておきます。
個別に許可を得る場合は、対象画像、掲載する店舗アカウント、利用目的、加工の有無、掲載期間を相手が確認できる形で伝えます。口頭だけで済ませず、メールや同意フォームなど、後から許可された範囲を確認できる方法を選びます。お客様の感想や写真を紹介するときの伝え方と確認項目は、インスタでお客様の声を投稿する前の許可と確認手順も参考になります。
写真の端まで見て、別の権利を切り分ける
撮影者から画像利用の許可を得ても、写真に写るすべての要素を利用できるとは限りません。画像を拡大し、中央だけでなく四隅まで確認します。お客様やスタッフの顔、名札、予約表、車のナンバー、配送伝票など、人物や個人情報を特定できるものが写っていないかを点検してください。店内のポスター、絵、キャラクター商品、他社のロゴなど、別の権利者が関わる表現も分けて確認します。
人物が写っている場合は、誰が、どの媒体で、どの目的と期間で掲載されることに同意したのかを確認します。撮影されることへの同意と、販促目的でSNSへ掲載されることへの同意は、別の項目として記録します。子どもが写る素材や、健康・相談内容など慎重な扱いが必要な場面では、担当者だけで結論を出さず、公開を保留してください。
不要な写り込みを切り取ったり、ぼかしたりしても、元画像の利用許可や規約上の加工条件を確認する必要は残ります。加工だけで問題が解消すると決めつけず、許可内容と照合してください。自店で撮り直せる商品であれば、背景を整理し、人物、掲示物、伝票などが入らない構図で撮影する方法もあります。権利関係を確認しやすい撮影素材を準備する流れは、店舗で投稿素材を作る手順で確認できます。
素材ごとに、採用・保留・不採用を決める
確認結果は、「たぶん使える」という感覚ではなく、採用、保留、不採用のいずれかに分類します。出所を特定でき、今回の用途が利用条件の範囲内にあり、人物や背景の確認と根拠の保存まで終わった素材は採用です。撮影者への確認待ち、規約の意味が不明、許可範囲に今回の用途が含まれるか分からない素材は保留にします。無断転載と判明した素材、利用条件に反する素材、必要な許可を得られない素材は不採用です。
| 素材 | 主に確認するもの | 確認できない場合 |
|---|---|---|
| 自社撮影 | 撮影者、人物、背景、社内利用条件 | 撮影し直す |
| 素材サイト | 利用規約、商用利用、加工、表記 | 別素材を選ぶ |
| 顧客・第三者の投稿 | 撮影者、投稿者、人物、二次利用の許可 | 転載しない |
| 外注制作 | 契約、SNSでの利用範囲、第三者素材 | 制作者へ確認する |
| AI生成画像 | サービス規約、入力素材、既存表現との類似、人物・ロゴ | 公開を保留する |
顧客の投稿写真では、投稿者と撮影者が同じ人物か、ほかの人物が写っていないか、店舗アカウントでの二次利用が許可されているかを確認します。外注画像は、納品されたという事実だけで採用せず、契約上のSNS利用範囲と、素材サイトなど第三者の素材が含まれていないかを制作者へ確認します。保留にした場合は、確認する相手と期限を決め、期限までに根拠がそろわなければ代替素材の使用や撮り直しへ切り替えます。
AI生成画像も、生成したという事実だけでは公開の可否を決められません。利用したサービスの最新規約で商用利用や利用条件を確認し、参照画像を入力した場合は、その画像を入力できる根拠も確かめます。出力に既存作品、著名人、ロゴなどを思わせる要素がないかも人が確認してください。画像生成とクリエイティブ設計の基本は、画像生成・クリエイティブ設計のコツで確認できます。
公開後までたどれる素材台帳を作る
採用した画像は、投稿ファイルだけを保存するのではなく、確認根拠と一緒に素材台帳へ登録します。一つの素材IDに、原本、撮影者・制作者、取得元、規約または許可の記録、確認日、加工内容、掲載媒体、公開URL、公開日、確認者、判定をひも付けます。この形にしておけば、担当者が交代しても、なぜその画像を採用したのかを確認できます。
たとえば同じ画像を複数のSNSやブログへ掲載する場合は、媒体ごとに利用条件の範囲内かを確認し、掲載URLを分けて記録します。権利者から取り下げ依頼が来たときは、素材IDを手掛かりに、公開済みのSNS投稿、予約投稿、プロフィール、Webサイト、広告素材、別媒体への転載を洗い出します。必要に応じて公開を停止し、取り下げ日時、対応者、相手への連絡内容を台帳へ記録したうえで、再利用候補から外します。
公開前の確認では、画像の権利と投稿内容の事実を別の項目にします。権利上は使える写真でも、古い価格や終了したサービスが写っていれば、現在の投稿には適しません。日付、価格、リンク、画像など、投稿内容の事実を照合する手順は、SNS投稿の公開前チェックを使って整理できます。
政府広報オンラインも、無料で使える曲や画像であっても、利用条件を確認することが大切だと案内しています。判断に迷った場合は、政府広報の著作権特集などの公的情報を確認し、個別案件については専門家へ相談してください。
よくある質問
出典を書けばネットの画像をSNSに使えますか?
出典を書くだけで利用が認められるとは限りません。権利者と利用条件を確認し、許諾が必要か、法律上認められる利用に当たるかを個別に判断する必要があります。「引用」と記載するだけで要件を満たすわけでもありません。
フリー素材なら店舗の宣伝に自由に使えますか?
利用できる範囲はサイトごとの規約によります。対象素材のページと利用規約で、商用利用、加工、クレジット表記、禁止用途、再配布の条件を確認してください。確認した日付とURLも素材台帳へ残します。
店の商品をお客様が撮った写真は、店が使えますか?
商品が店舗の所有物であっても、写真を撮影した人や、写っている人への確認が不要になるとは限りません。投稿者と撮影者が同じか、ほかの人物が写っていないか、店舗アカウントでの二次利用について許可を得ているかを確認します。
AI生成画像なら著作権確認は不要ですか?
AI生成画像でも確認は必要です。利用したサービスの最新規約、入力した参照素材を使える根拠、既存作品との類似、人物やロゴを思わせる表現の有無を点検します。法的判断が難しい出力は公開を保留し、別の画像を作るか専門家へ相談してください。
確認できる一枚から、次の投稿を作る
画像を選ぶときは、投稿に合う一枚を見つけるだけでなく、誰が作り、どの条件で使え、どこへ掲載したのかを説明できる状態にすることが重要です。入手元、利用条件、人物・背景、許可記録の順に確認し、根拠がそろえば採用、不足があれば保留、条件違反や無許可が判明すれば不採用とします。この基準と素材台帳を共有すれば、担当者が変わっても同じ手順で判断できます。
次の投稿では: 権利と利用条件を確認して採用した素材だけを選び、PLATONで文章や画像案を作成した後も、人が権利と事実を最終確認します。確認済みの素材を使って企画から制作へ進む流れは、PLATONを使ったコンテンツ制作のガイドで確認できます。
